相生山緑地(名古屋市天白区)の森を壊す道路建設計画「弥富相生山線」について、当サイトでは8つの問題点を明らかにしています。
このページでは、「問題点⑥ 時代遅れの計画と、市の環境政策との矛盾」について、詳細に検討しています。
始まりは60年以上前(1957年)の時代遅れの計画
この道路計画が決定されたのは、高度経済成長期に差し掛かる1957年(昭和32年)のことです。
当時は「自然環境を守る」という意識が極めて低く、開発を進めることだけが正義とされた時代でした。
現代社会が目指す、自然と共生する持続可能な都市とは根本から対立しています。
このような古い計画を、今の時代に見直すことができない法整備の不足も大きな問題です。
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名古屋市自身の環境政策との完全な矛盾
1. 環境目標が台無しに
名古屋市は、素晴らしい環境目標をいくつも掲げています。
- 市内の豊かな自然を守る「生物多様性なごや戦略」
- 雨水を大地に浸透させて水を守る「水の環復活なごや戦略」
- 緑豊かな街をつくる「緑のまちづくり」
しかし、相生山緑地に道路をつくることは、名古屋市自らが掲げるこれらの環境政策と真っ向から矛盾し、これらの素晴らしい環境目標を台無しにする行為です。
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2. 相生山緑地は「生物多様性重要エリア」
2024年7月には「名古屋市内の生物多様性重要エリアマップ」が公開されました。
このマップにおいて、相生山緑地は全域が「重要エリア」に含まれています。
しかも、この「名古屋市内の生物多様性重要エリアマップ」の取り組みは、2024年12月、国土交通省の「第5回グリーンインフラ大賞」において、優秀賞を受賞しています。
受賞したばかりの自らの取り組みを、自ら反故にしようとしている異常な事態です。
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COP10開催都市としての国際的な里山保全の責務
2010年に名古屋で開催された「世界生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」において、里山の保全は国際的な重要課題となりました。
「開催地である名古屋で里山が守れないのは世界に申し訳ない」と言った前市長の言葉通り、名古屋市は開催都市としての国際的な責務を果たすべきです。
SATOYAMAイニシアティブ
COP10で日本政府と国連大学が提唱したのが「SATOYAMAイニシアティブ」です。
これは里山(二次的自然)」の価値を見直し、人と自然が持続可能に共生する社会を目指す国際的な取り組みです。
世界に向けて「SATOYAMAの手法で地球を守ろう」と発信した当事者である名古屋市が、自らの手で身近な里山環境を乾燥化させ、破壊しようとしています。
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社会的公正の欠落
この道路計画の受益者は、主に通過車両の運転者と建設に関わる事業者です。
一方で損失を被るのは、車を持たない高齢者や子どもたち、日常的に相生山緑地を利用している地域住民など、むしろ多数を占める側の人々です。
さらに深刻なのは、意思決定の場に参加できない将来世代や、自然そのものへの影響です。一度失われた生態系は取り戻せません。
このように、便益を受ける人と損失を負う人が別々のグループである構造を「受益者と被害者の非対称性」と呼びます。
この非対称性は、社会的な不公正と深い不満を生む典型的な構図です。
実際に、本計画に対しては高齢の住民や子どもを持つ親たちから反対の声が上がっており、それはこの構造的な矛盾を反映しています。
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戦略的環境アセスメント(SEA)の未導入
行政が進めているのは、「道路を造る前提」の計画であり、「造らない(ゼロ・オプション)」の比較がありません。
- 現代の都市計画に不可欠な「持続可能な交通戦略(ASIアプローチ)」
- 計画の早い段階で環境影響を評価する「戦略的環境アセスメント(SEA)」
これらの国際標準の手法が導入されておらず、場当たり的な計画になっています。
特に相生山緑地のような、一度破壊したら二度と戻らない貴重な自然(生態系・地下水脈)という「環境コスト(負の外部不経済)」を支払う場合、計画の最上流段階で「そもそも道路を造らない(ゼロオプション)」を含めて検証する「戦略的環境アセスメント(SEA)」のプロセスが不可欠です。
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縦割り行政と都市ビジョンの欠如**
名古屋市の環境政策との矛盾や、戦略的環境アセスメント(SEA)の未導入は、「環境を大切にする部署」と「道路をつくりたい部署」が連携していないことが原因です。
より本質的には、これらの諸問題は、名古屋市の都市としてのグランドビジョンの欠如や、縦割り行政に起因していると考えられます。
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