「第6回学術検証委員会議事録」の要約です。
資料
第6回学術検証委員会
- 日時:2010年10月29日 午後3時~5時
- 会場:アイリス愛知 2階 コスモス2・3
- 参加者(50音順):山下委員長、林副委員長、足立委員、大場委員、加藤委員、寺井委員、秀島委員、増田委員、松本委員、武田オブザーバー委員
- 傍聴者:17名
- 報道:7社(日本経済新聞、読売新聞、名古屋テレビ、朝日新聞、中日新聞、毎日新聞、東海テレビ)
報告書の構成と委員会の基本的立場
本委員会は、単に道路建設の「白黒」をつけるのではなく、「判断のための根拠と道筋を提示すること」を自らの役割と定義しました。
報告書の3章構成
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第1章:基本的立場
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公共事業の企画立案プロセスそのものを検証する。
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道路建設と自然生態系への影響を二段階で整理する。
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是非の判断は行政・政治に委ね、学術は「解決の道筋と根拠」を示す。
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第2章:活動経過と意見聴取
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市民11名、および「環境に配慮した道づくり専門家会」からの多角的な意見を反映。
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第3章:検証結果(本論)
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公共事業の立案過程に対する検証と、個別事業の具体的な評価。
公共事業の立案過程に対する検証
従来の行政プロセスの限界を指摘し、新しい「基本方程式」を提示しています。
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個別計画の矛盾と統合の欠如
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交通、産業、環境などの個別計画が横並びで矛盾しており、それらを統括する「グランドデザイン(上位計画)」が機能していない。
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QOL(生活の質)を基軸とした評価
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事業の目的を「市民生活の質の向上」に置き、以下の5つの評価軸で構造化することを提案。
| 評価軸 | 主な内容 |
|---|---|
| A. 経済機会 | 交通渋滞の緩和、物流・移動の効率化。 |
| B. 生活・教育・文化機会 | 自然体験、地域の歴史・文化へのアクセス。 |
| C. 快適性・リラクゼーション | 緑地の恵み、生態系サービス(※今回環境負荷から移動)。 |
| D. 安心・安全性 | 緊急車両のアクセス、防災機能、生活道路の安全性。 |
| E. 環境負荷性 | 汚染、騒音、低炭素社会への影響。 |
個別事業(弥富相生山線)の具体的評価
現存するデータに基づく、道路建設のプラス・マイナス効果の整理です。
プラスの効果
- 周辺道路の渋滞緩和(ただしデータの更新が必要)。
- 緊急車両の到着時間短縮など、交通輸送の効率化。
- 緑地の防災機能向上。
マイナスの効果と課題
- 誘発交通の増加: 道路ができることで逆に流入車が増え、新たな渋滞や駐車問題を生む可能性。
- 生態系の劣化: 緑地の分断と乾燥化による生物相の貧困化。特にヒメボタルの生息環境悪化への強い懸念。
- 「わからない」ことのリスク: 生態系や水循環は研究途上の分野であり、「データがないから影響なし」とするのではなく、「わからないことが最大のリスクである」という学術的スタンスを強調。
今後の展望と「オプション」の議論
最後に、今後の市政への提言として重要な視点が議論されました。
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「オプション」の提示
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「建設を100%進める場合」と「構造物を撤去し元に戻す場合」の両極端なケース(およびその中間的な選択肢)を想定し、それぞれにどのようなプラス・マイナスが生じるかを示す。
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フォローアップと修正の勇気
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一度決めた計画(グランドデザイン)も、時代の変化や新たな知見(名古屋学)に基づき、修正・進化させる「勇気」が必要。
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「名古屋学」の確立
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他都市のデータ転用ではなく、名古屋独自の地学・生物・社会学のデータを蓄積し、市政の意思決定に活かす仕組みづくりを提言。
明らかになった問題点
第6回学術検証委員会で明らかになった問題点は、次の通りです。
1. 「グランドデザイン」の欠如
委員から、本質的な問題点の指摘がありました。
名古屋市全体の「グランドデザイン(上位計画)」が欠如している、という点です。
名古屋市の従来のいろいろな都市計画、基本計画は相互に非常に矛盾しています。
例えば、開発系の計画ならば道路をつくれということになりますし、環境系の計画を使えば道路をつくってはいけないということになります。
この点は、管理人がこのサイトを制作している最中にも、常に気になった点です。
すなわち、「名古屋市には、優れた環境政策が揃っているのに、なぜ、道路建設を推進するのだろうか?」という疑問です。
典型的な縦割り行政の弊害といえるかもしれません。
感想
COP10開催都市としての責任を持つべき
しかしながら、名古屋市はCOP10開催都市です。
この学術検証委員会が開催されている最中の2010年に名古屋国際会議場で、世界中から約8,000名以上を迎えて、生物多様性保全の国際的枠組みを議論しました。
「グランドデザイン(上位計画)」の方向性は定まっています。
すなわち、COP10開催都市としての責任を持つ、ということです。
相生山緑地を重要な拠点として、強力に環境政策を推進していくことを、名古屋市政に要望します。