このページでは、名古屋市が推進する環境政策の全体像をわかりやすく解説します。
環境政策そのものはどれも素晴らしいものです。
しかし、それによって、相生山緑地を壊す「弥富相生山線」という道路計画が、いかに名古屋市の環境政策と矛盾しているかが明白になっています。
COP10の成果と責務
名古屋市では、2010年10月に「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」が開催されました。
COP10は、生物多様性の保全と持続可能な利用を目的とした国連の国際会議で、世界約180カ国から、政府関係者、国際機関、NGO、メディアなど13,000人以上が参加しました。
その成果として、
- 「名古屋議定書」
- 「愛知目標」
- 「SATOYAMA(里山)イニシアティブ」
といった世界的な環境指標が誕生しました。
これによって名古屋市は、「環境先進都市」を目指すことを世界に宣言した、といえます。
それは同時に、COP10開催都市として、環境問題に対してイニシアティブやリーダーシップを発揮する、という世界や地球環境に対する責務を担っている、ともいえます。
2050年の未来を見据える
名古屋市では、2030年、そして2050年の未来を見据え、進化した環境政策が展開されています。
すなわち名古屋市の環境政策は、長期的なビジョンでもあります。
水の都の復活へ 持続可能な「水循環」への取り組み
都市化が進む一方で、名古屋市では自然な水のめぐりを取り戻すための施策に力を入れています。
「健全な水循環の回復」を目指して、
- なごや水の環(わ)復活プラン
- 水の環復活なごや戦略実行計画2030
などを策定しています。
特に注目されているのが、雨水を一時的に貯留・浸透させて大雨時の排水負荷を減らす「雨庭(あめにわ)」の設置です。
また、街なかの湧水を活用したヒートアイランド現象緩和の実証実験など、最先端の試みも行われています。
市民が水循環の大切さを「自分事化」できるような支援制度や事業も充実しています。
緑のまちづくりとグリーンインフラ
名古屋市では、緑被率の低下が深刻です。
単に緑の面積を増やすだけでなく、自然環境が持つ多様な機能を社会インフラとして活用する「グリーンインフラまちづくり」への転換が進んでいます。
中心となる「名古屋市緑の基本計画」をもとに、「なごやの森づくりガイドライン」の策定などを実施しています。
さらに、「なごやグリーンインフラまちづくりガイド」を発行し、民間・行政が一丸となって、災害に強く、心地よい緑豊かな都市空間のデザインを進めています。
地球温暖化対策のイニシアチブ
気候変動への対応は、今や都市の最優先課題です。
名古屋市は、2050年のカーボンニュートラル実現を見据えた「低炭素都市2050なごや戦略」や、そこからの逆算で組み立てられた「地球温暖化対策実行計画2030」を推進しています。
現在のCO₂排出量を厳密に把握・管理し、削減目標を設定する環境マネジメントシステムを導入しています。
さらに、市民生活に寄り添った「地球温暖化対策の取組み」や、誰でも今日から始められる「みんなで取り組もう!なごやの環境はじめの一歩」などを通じて、草の根の行動変容を促しています。
生物多様性とネイチャーポジティブ
名古屋市の環境政策において、注力している分野が「生物多様性」です。
生態系の損失を食い止め回復へと向かわせる「ネイチャーポジティブ」の実現へ舵を切っています。
たとえば、
- 生物多様性2050なごや戦略
- 生物多様性なごや戦略計画2030
といった環境政策が設定されています。
その取り組みはユニークなものが多く、市役所の屋上でミツバチを育てる「名古屋市役所屋上みつばちプロジェクト」や、街なかにバタフライガーデンを広げる「チョウを呼ぶまちプロジェクト」などがあります。
さらに、スマホアプリで市民が生き物を探す「なごやいきものクエスト」など、ゲーム感覚で楽しく参加できる仕組みも話題です。
国際的に重要な湿地である「藤前干潟」の保全・活用や、「なごや生物多様性センター」による調査・啓発活動も継続して行われています。
政策の羅針盤 「環境基本計画」と「国際レガシー」
これらすべての環境政策を包括し、持続可能な「SDGsまちづくり」の土台となっているのが、最上位計画である第4次名古屋市環境基本計画です。
名古屋市は、国際社会において歴史的な一歩となった「COP10」の開催地として、「名古屋議定書」や「愛知目標(世界目標2011-2020)」の精神を今も大切に受け継いでいます。
このグローバルな視点と、地域に根ざした具体的な計画が連動していることこそが、名古屋市の強みです。
目標の達成レベルは?
では、名古屋市の掲げる環境政策の目標は、実際にどれほど達成されているのでしょうか?
結論としては、量的な目標は厳しい状況にあるというのが実情です。
例えば、全域の緑被率は、23.3%から27.0%に引き上げることが目標でした。
しかしながら、実際には10年間で23.3%から21.5%へと、逆に1.8ポイントも減少してしまっています。
ここに名古屋市の環境政策の限界が露呈しています。
まとめ
名古屋市の環境政策の特徴は、行政によるインフラ整備や計画策定にとどまらず、「市民や企業が、楽しみながら自分事として関われる仕組み」が随所に散りばめられている点にあります。
これからの時代は、市民一人ひとりが環境意識を高めていく必要性が、ますます高まっていくと思います。
相生山緑地問題についても、関心を持つ市民が一人でも多く増えれば、と思っております。
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