相生山緑地(名古屋市天白区)の森を壊す道路建設計画「弥富相生山線」について、当サイトでは8つの問題点を明らかにしています。

このページでは、「問題点④ 水環境の破壊による森の乾燥化と災害リスク」について検討しています。

都市を守ることは、水を守ること

近年、気候変動やヒートアイランド現象、都市型洪水、生物多様性の損失など、都市を取り巻く環境問題が深刻化しています。

これらの多くは、水環境という共通の基盤によって結びついています。

相生山緑地問題をより深く理解するためには、都市と水環境の関係について知っておくことも大切です。

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水循環の破壊と、森の乾燥化の悪循環

1. 雨水流出率の急増(37%→55%)による森の乾燥化

相生山の地下には「八事層」という礫の層があり、雨水をたっぷりと蓄えてゆっくり湧き出させる「天然のダム」の役割を果たしています。

道路をアスファルトで覆ってしまうことで、雨水が地下に浸み込まず、そのまま地表を流れていってしまう割合が跳ね上がります。

これは名古屋市の「なごや水の環(わ)復活プラン」などの水環境政策に完全に逆行する数値です。

また、浸み込まなかった雨水が一気に下流へ流れ出すため、近隣の洪水リスクも高まります。

簡単な試算

森や緑地が無償で担っている「雨水を受け止め、ゆっくり地面に返す」という機能を、もし「雨庭レインガーデン)」という人工的な設備で肩代わりするとしたら、いくらかかるのか、という観点で、簡単な試算を行いました。

雨庭(は、名古屋市も推奨している環境施策で、補助金制度もあります。


2. エッジ効果による森の乾燥化

森林が分断・開発されると、エッジ(周辺部)の付近は、中央部に比べて、

  • 日当たりや風通しが良い
  • 気温や湿度の変動が大きく乾燥しやすい

といった微気候が形成されます。

これをエッジ効果と呼びます。

2026/3/1の説明会資料にも、学識者意見として、

道が通ると縦断的に風が通り乾燥化する

との指摘があります。

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3. 乾燥化の悪循環による、森の生態系の破壊

近年の生態学や環境問題に関する研究では、環境変化は直線的ではなく、悪循環や好循環といった、再帰的な循環構造を持つことが知られています。

すなわち、

土壌乾燥 → 植生衰退 → 蒸発散減少 → 気温上昇 → さらなる乾燥

という「乾燥化が乾燥化を呼ぶ」悪循環です。

都市水文学的には、相生山緑地は乾燥に対してデリケートであると考えられます。

森林が維持されている現在は安定していても、道路建設により、流出率が一定値を超えたり、風通しが良くなったために乾燥化が促進されると、急速に環境が変化する危険性があります。

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地下水脈の分断のリスク

相生山緑地の工事未着工区域には水源があります。

この水源から発した水が、笹原排水路へ流れ、相生山の麓を流れる郷下川へ注いでいます。

参考地図:国土地理院

道路建設によって、地下水脈が断ち切られて、豊かな森が乾燥してしまう恐れがあります。

名古屋市は、工事の影響はない・問題ない、との主張です。

しかし、

  • 降水量との正確な対応が算出できていないため、工事の影響を科学的に評価できない
  • 地下水位についても、工事前後で比較可能なデータが欠落している箇所があり、影響評価が困難

という指摘が、学術検証委員会の専門家からなされています。

また2026/3/1の説明会資料にも、学識者意見として、

沢の水に変化を与えないことが大切

とあります。

地下水は均一に流れているわけではなく、細かな水脈を形成しています。

また地下構造は不均質であるため、現在の解析技術では道路建設後の湧水量の変化を正確に予測することは困難です。

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弥富相生山線建設に伴う影響の一覧


洪水や森林火災のリスク

1. 「天然ダム」の機能を破壊

相生山を水源とする郷下川は、2000年の東海豪雨の際に、氾濫を起こして野並地区に深刻な被害をもたらしました。

相生山緑地の「天然のダム」としての機能を破壊すると、郷下川への水の流れが増加して、水害のリスクが上昇します。

郷下川からの溢水(あふれ出し)こそが、野並地区の壊滅的な浸水被害を決定づけた主要因の一つであったことが、学術的なシミュレーションによって裏付けられています。

不十分な水害対策

雨水対策として「約1,000m³の貯留施設を既に整備した」、とのことですが、洪水対策として明らかに不十分です。

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2. 森林火災のリスク

近年、海外などでは、異常気象に伴う森林火災がニュースになっています。

森の乾燥化は、森林火災のリスクも高めます。

また、一般車両が通行することで、事故等による火災リスクも懸念されます。

逆に災害リスクを高める

名古屋市は、新規道路の防災機能を謳っています。

しかし上記のように、この道路計画は、逆に災害リスクを高めており、本末転倒です。


まとめ

地下水脈や水循環の問題は、直接確認できない地下の現象であるため、あまり注目されません。

しかし、地下水の問題は、

  • 生態系の保全
  • 防災
  • ヒートアイランド対策
  • 都市環境

などにとって、とても重要です。

この問題を軽視することはできません。

科学的知見に基づいた議論が必要です。