相生山緑地(名古屋市天白区)を分断する都市計画道路「弥富相生山線」について、当サイトでは8つの問題点を明らかにしています。
このページでは、「問題点① 住環境への悪影響と、新たな事故発生リスク」について詳細に検討しています。
重大な方針転換
当初の「折衷案」では、この道路は「緊急車両だけ通す」というものでした。
しかし、名古屋市が2026年に示した新たな「折衷案」では、「一般車両も通す」という内容に変わっています。
これは単なる細部の修正ではなく、重大な方針転換です。
名古屋市は、新規道路の交通量を1日あたり約7,700台と見込んでいます。
これを1年間に換算すると、
7,700台 × 365日 ≒ 約281万台
もの交通が、これまで存在しなかった場所に、新たに発生することになります。
この規模の変化がもたらす影響が大きいことは、常識的に考えても明白です。
以下、この方針転換によって生じる3つの懸念について、それぞれ整理します。
「車両入り込み対策」は、本当に効果があるのか?
市側が、一般車両を通す大義名分として掲げているのが、「生活道路(住宅街)への車両入り込み対策」です。
しかし、この主張には、定量的な根拠が欠落しています。
それどころか、交通工学的な知見に基づけば、道路建設によって、入り込み交通がむしろ悪化する可能性も十分にあります。
さらに詳しく
参考:警察官の証言
この「車両入り込み問題」については、「学術検証委員会」にて警察官の証言が紹介されています。
警察に通り抜けのことを聞きに行ったら、警察は、
「道路ができても解消するわけないじゃん、ここはゾーン規制かけないことには、解決にはならんよ。道路ができたら、しかもCからバカスカ入ってくるがね。DやCなどもどんどんでてくるぞ」って。
この意見陳述を行った山根学区の小川氏は、入り込み対策の効果を明確に否定しています。
関連記事
生活道路の「混雑区域」が広域化するリスク
久方交差点や昭和高校前交差点など「弥富相生山線」周辺の交差点では、開通後に交通量が急増することがわかっています。
これは、別の住宅街や通学路に対して、「新たな車両の入り込みや混雑」をスライドさせることを意味します。
関連記事
住環境への悪影響(騒音・振動・排気ガス)
前述のように、名古屋市は、年間約281万台という新たな交通が発生する、と予測しています。
これにより、騒音・空気汚染・振動などの悪影響を住環境にもたらすことが懸念されています。
騒音に関する環境基準を大幅に超過
「弥富相生山線」道路計画の資料には、騒音について「要請限度」という基準を用いて、「問題なし」とする評価が示されています。
しかし、この評価には重大な疑問があります。
本来使うべきは「要請限度」ではなく、「環境基準」であり、それに照らすと、市の予測値はすでに基準を大きく超過しています。
さらに詳しく
地域住民の切実な声も
2026/3/1の説明会においても、重い障がいのあるお子さんをお持ちの地域住民から、切実な声があがっていました。
また、「弥富相生山線の折衷案及び説明会に対する市民意見」にも、市民からの懸念が寄せられてます。
騒音に至っては要請限度ギリギリであり、静かな環境で暮らしていた住民にとっては0から100になるようなもので、耐えられるものではない。
静かで緑もたくさんありいいところですが、道路ができると久方交差点で渋滞の可能性があり、騒音、排気ガスなど、かなり影響を受け、静かさが失われることを危惧します。
これらの懸念に対して、名古屋市は明確な回答を示していません。
市民意見の全文はこちら
治安悪化のリスク
また、一般車両が通行できるようになり、緑地へのアクセスが容易になることで、「珍走集団」が走ったり、緑地の治安悪化のリスクもあります。
名古屋市緑区にある大高緑地では、安全確保と犯罪防止のため、警察署や地域ボランティアが連携して巡回や注意喚起などの治安対策を行っています。
このような対策も必要になる可能性があります。
新たな事故の発生リスク
年間約281万台という交通が新たに発生するということは、それに比例して、新たな事故のリスクも発生するということを意味します。
国土交通省の統計によれば、一般的な幹線道路の死傷事故率は、走行距離あたり約84件/億台キロとされています。
生活道路では、この2倍以上にあたる約203件/億台キロというデータもあります。
弥富相生山線の区間(約892m)に、この全国平均の事故率を機械的に当てはめると、
年間の走行台キロ(7,700台×365日×0.892km)÷ 1億 × 84件 ≒ 年間約2件程度
という桁感の数字が出てきます。
久方交差点や昭和高校前交差点など、生活環境に近い交差点でも、これくらいの規模の事故が新たに発生してもおかしくない、ということです。
さらに詳しく
森林区間特有のリスクも
緑地内を通る区間には、都市部の道路にはない、固有のリスクもあります。
- 見通しの悪いカーブや、勾配が急な坂道での事故
- 夜間、街灯の少ない区間での視認性の低さ
- 野生動物の飛び出し
さらに、一般車両を通すことで、森林区間内での重大事故の懸念もあります。
市街地とは違い、消防・救急の到着が遅れやすく、事故が火災につながるリスクも考えられるため、厳重な防災・防火体制の整備も求められます。
まとめ
「緊急車両だけ」から「一般車両も」への転換は、年間281万台という新たな交通の発生、その影響(入り込み・騒音・振動・事故リスク)を、地域がまるごと引き受けることを意味します。
これらの懸念に対して、名古屋市が定量的な根拠を示していない以上、この方針転換の是非については、私たち市民一人ひとりが、あらためて考える必要があります。