「8つの問題点」をさらに整理
「弥富相生山線」問題は、影響が多岐にわたり、とても複雑です。
そこで、当サイトでは問題点を8つに集約しています。
しかし、問題が8つも並んでいると、全体像がかえって把握しにくい、というデメリットがあります。
そこで今回は、これらの問題点を「要因と影響」という視点で、あらためて整理してみました。
8つの問題をもたらす「3つの要因」
8つの問題点は、突き詰めると、次の3つの要因から生じている、と考えられます。
- 一般車両の通行:緑地内を、これまで通っていなかった一般車両が、日常的に走行(年間281万台)するようになること
- 工事による影響:道路を建設する工事そのものが、地形・水脈・生態系に物理的な改変を加えること
- ガバナンスの欠如:計画の立案から合意形成、財政判断に至るまでの、行政の意思決定プロセスそのものに関わる問題
※「ガバナンス」の言葉の意味については、後述します。
ツリー形式で整理すると
「弥富相生山線」問題の全体像
├── 要因①「一般車両の通行」
│ ├── 問題点①「住環境の悪化・事故リスク」
│ ├── 問題点②「渋滞・交通効果の科学的根拠の薄さ」
│ ├── 問題点③「生態系への影響(光・騒音等)」
│ └── 問題点⑤「森の価値の毀損(利用による影響)」
│
├── 要因②「工事による影響」
│ ├── 問題点③「生態系への影響(改変・分断)」
│ ├── 問題点④「水環境と災害リスク」
│ └── 問題点⑤「森の価値の毀損(改変による喪失)」
│
└── 要因③「ガバナンスの欠如」
├── 問題点⑥「環境政策との矛盾」
├── 問題点⑦「不誠実な住民合意形成」
└── 問題点⑧「財政・公共事業のあり方」
こうして3つの要因に集約すると、8つの個別項目を並べて見るよりも、問題の全体像を、ずいぶんと理解しやすくなるのではないかと思います。
問題を複雑にしている原因は
上記のツリーを見ると、いくつかの問題点(③生態系・⑤森の価値)が、複数の要因にまたがって登場しています。
たとえば「生態系へのダメージ」は、工事そのものによる物理的な破壊(要因②)だけでなく、開通後の日常的な車の光・騒音・振動(要因①)という、性質の異なる2つの経路から、重ねて影響を受けることになります。
この構造が、問題を複雑にしている原因と思われます。
それでは、3つの要因について、それぞれ詳しく検討してみます。
要因①:一般車両の通行
8つの問題を3つの要因に集約してみると、ある一つの事実が浮かび上がってきます。
8つの問題点のうちの半数(問題点①②③⑤)が、「一般車両の通行」という一つの要因に行き着く、という事実です。
「一般車両の通行」が、最も核心的な問題?
言い換えれば、年間281万台の「一般車両を通行させるかどうか」こそが、この事業をめぐる最も核心的な論点だといえます。
つまり、地域住民との間で、十分な議論と合意形成が必要な問題です。
にもかかわらず、当局と地域住民との間で、「一般車両を通すべきか」という問題について、十分な議論が行われた形跡はありません。
これは、とても不可解な点です。
住環境の悪化は、道路建設の工法とは無関係
もう一つ、重要な論点があります。
そもそも住環境への悪影響を心配する地域住民にとって、道路建設の工法の種類などは無関係の問題という点です。
どんな工法で建設されようが、年間281万台の不特定多数の一般車両が通行することに変わりはありません。
当局の姿勢に対する疑念
この問題をさらに追求していくと、当局は、地域住民のことを考えていないのではないか? という疑惑が浮かび上がります。
これらの点については、下記の記事でさらに掘り下げています。
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要因②:工事の影響
「弥富相生山線」の工事をする場合、次のような破壊が行われます。
- 森林の伐採(延長約892m、幅員12〜16mにわたる大量伐採)
- 地形の改変(大規模な切土・盛土による斜面の削平)
- 地表の遮水化(雨水を吸い込む土を削り、アスファルトで覆う)
- 谷筋(水脈)の横断(もともと雨水が集まる自然の集水区域を道路で遮断)
これらの工事による変化は、単に「木が減る」という表面的な問題にとどまらず、
- 問題点③:ヒメボタルや生態系への深刻なダメージ
- 問題点④:水循環の破壊による森の乾燥化と災害リスク
- 問題点⑤:市民の財産である森の毀損
という3つの経路へ、深刻な悪影響を及ぼします。
しかも、道路建設のために伐採された森や、切土・盛土で削られた地形、寸断された地下水脈は、二度と元には戻りません(不可逆的な破壊)。
この重大な問題については、下記の記事で掘り下げています。
さらに詳しく
要因③:行政ガバナンスの欠如
「ガバナンス」とは
ここでいう「ガバナンス」とは、行政と市議会の役割分担がうまく機能しているかどうかを表す言葉です。
本来の役割分担としては、
- 行政(執行機関):計画を立案し、根拠となるデータを示しながら説明を行う
- 市議会(チェック機関):その計画・説明を監視し、必要であれば修正を求める
という、執行とチェックの「両輪」が想定されています。
「ガバナンス」という言葉は、こうした執行とチェックの両輪が、うまく機能しているかどうかを問うための言葉です。
問題点⑥〜⑧(環境政策との矛盾、不誠実な合意形成、財政・公共事業のあり方)は、いずれもこの「ガバナンス」という一つの軸から捉え直すことができます。
名古屋市の行政には、どのような問題点があるのか?
なぜ、市民のまっとうな意見が通らないのか?
この問題は、独立した問題としても検証されるべきです。
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まとめ
「相生山緑地」問題は、とても複雑です。
問題が広範囲に及ぶため、全体像を把握するのは大変です。
それでも、このように8つの問題点と3つの要因に整理すると、ある程度は理解しやすくなると思います。