相生山緑地(名古屋市天白区)の森を壊す道路建設計画「弥富相生山線」について、当サイトでは8つの問題点を明らかにしています。

このページでは、「問題点③ ヒメボタルや生態系への深刻なダメージ」について、詳細に検討しています。

建設予定地は、相生山緑地の生態系のコア(核心部)

相生山緑地は、日本有数のヒメボタルの生息地です。

そのヒメボタルにとって最重要地域「コア(核心部)」の真ん中に、年間281万台が通行する道路を建設しようとしています。

道路による分断は、生態系への深刻なダメージとなることが容易に予想できます。

「ヒメボタルは大丈夫」とする科学的根拠は未提示

「学術検証委員会」に参加した学識者へのヒアリングで、「ヒメボタルは大丈夫」との見解が示された、と名古屋市は主張しています。

しかし、その見解についての科学的な検証は提示されておらず、市民からの批判が集まっています。

保全生態学の知見によれば、「ヒメボタルは大丈夫」どころか、その逆の事態が懸念されています。

「ヒメボタルは大丈夫」と科学的に主張するためには、適切な調査と数理モデルの構築が必要です。

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ヒメボタルの分布・個体数の現況調査だけでは不十分

保全生態学の知見

保全生態学には、「コア(核心部)・バッファ(緩衝帯)・エッジ(周縁部)」という空間ゾーニングの考え方があります。

建設予定地は、相生山緑地の中で最も豊かな生態系が残る「(核心部)」です。

また、緑地の分断(エッジ効果の拡大)により、乾燥に弱いヒメボタルの生息域がさらに縮小する懸念があります。

さらに、森に道路を建設することで、風通しが良くなり、森の乾燥化が進む懸念が、2010年の「学術検証委員会」でも出されています。

2026/3/1の説明会資料にも、学識者意見として、道が通ると縦断的に風が通り乾燥化するとの指摘があります。

乾燥化により、森の生態系そのものの破壊につながるリスクがあります。

道路建設によって物理的に生息適地が消失するだけでなく、保全生態学的には、きわめて深刻な事態といえます。

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保全生態学における空間ゾーニングとエッジ効果

絶滅のリスク

生き物が遺伝的な健康さを保ち、絶滅を避けるためには最低500個体が必要とされています。

コア(核心部)の、最も生息密度の高い個体群(グループ)が道路によって破壊されると、生物種が絶滅へ向かう危険性があります。

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保全生態学から見た、ヒメボタルへの深刻なリスク


手抜きの環境調査(アセスメント)

成虫を1シーズンわずか3回目視しただけの手抜き環境調査(幼虫やエサの調査軽視)。

市の環境調査は、外から飛んできた成虫の数を1シーズンにわずか3回目視で数えただけの不十分なものです。

ヒメボタルがその土地にしっかり定着しているかを見るために最も重要な「幼虫の分布調査」や、ホタルのエサとなる生き物(カタツムリなど)を含めた「里山全体の生態系ピラミッド」の調査を軽視しています。

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ヒメボタル調査に必要なもの


専門家が必須とした「夜間通行止め」の曖昧な後退

ヒメボタルは陸生ホタルであり、発光によるコミュニケーションで繁殖行動を行います。

非常に微弱な光を放つため、人工光に対して極めて敏感です。

このため、ヒメボタルの保全のためには、「夜間通行止めが必須」になります。

ところが2026/3/1の説明会資料では、「夜間通行止めを検討」という曖昧な表現に後退しています。

夜間通行止めを実施する気がないのでしょうか?


シェッドの上に土を盛るだけの「緑が戻る」という見せかけのポーズ

市はトンネルや人工の覆い(シェッド)の上を土で覆うことで「植生が回復する」と説明しています。

しかし、これは他の都市の都合の良い事例を安易に当てはめただけです。

実際に、そこに豊かな在来種の森が戻るのか、それとも外来種や雑草が荒れ地のように生い茂るだけなのか、まともな検証や調査データは示されていません。

見た目だけを緑色にする「環境への配慮」のポーズに過ぎません。


「予防原則」を適用すべき事案

これまで見てきたように、本事業は生態系に対して不可逆的な破壊をもたらす可能性があります。

しかしその影響の全容は、専門家の目をもってしても正確には予測できません。

だからこそ適用されるべき考え方が、予防原則です。

「影響が不確実なときこそ、取り返しのつかない選択を避けなければならない」というこの原則は、国際的な環境政策の基礎として広く確立されています。

不確かさを「問題ない」という根拠にしてはなりません。

不確かさは、立ち止まる理由です。


専門家意見に対する不信感

2026/3/1の説明会で配布された資料には、

ヒメボタルは丈夫。敷地内の広範囲にいるので道ができても絶対残る。(車両による)騒音、振動はホタルに影響はない」

ホタルが増え続けているのは異常な環境。減ることも(自然に対して)むしろ重要な要素

といった学識者の意見が紹介されています。

これに対して、説明会後に募集された「弥富相生山線の折衷案及び説明会に対する市民意見」には、「とても学識者の意見とは思えない」といった不信の声が多く寄せられてます。

名古屋市は、学識者の氏名とともに、「ヒメボタルは丈夫」「(車両による)騒音、振動はホタルに影響はない」とする科学的根拠を示す必要があります。

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